皮革製品の最高の贅沢と言われるこの技法は、あらゆる利点を兼ね備えます。 それぞれの繊維方向の違う2枚を貼合わせる事に依り非常な堅牢度を示す。 従って極薄なものを造り上げる事ができる。 そして、まるで薄くスライスしたゴムの板の様な柔軟性が生まれる。
博庵の製品は”切り目”と呼ばれる手法が殆どを占める。 切り目とは、コバが裁断された姿で出来上がっている物。 しかし、裁断されたままでは製品と呼ぶにふさわしくない物になる為裁断面をミガキと呼ばれる処理加工を施す。 この加工はその名の通りコバ面を実際に布によってミガキ上げるのである。 世に出回る殆どの商品が、コバ面に塗料を塗布して仕上げる手法に依るものである。 博庵は敢えてこのコバ処理に古来からの手法に依るコバミガキで仕上げている。 このコバミガキは非常に労力を要する為、世界的に観て殆ど行なわれていない。
ついでにもう一つ付け加えておこう。現在”本ミガキ”という言葉をよく耳にするが、本来”本ミガキ”という言葉は存在せず前述した塗料の塗布をミガキと間違えて呼ぶ様になったので、実際ミガキをかけたものを本ミガキと呼ぶ様になったのではないかと思われる。
コバの処理には前述の切れ目があり、そして表革を内側に返すヘリ返しとがある。 博庵の商品は九分九厘切り目の手法を採っているが内装に対してはヘリ返しが殆どである。 このヘリ返しの際にヘリを返した後、ミシンの糸の際ギリギリに余分なヘリを裁断してヘリ幅を細くみせるという手法の事である。 この手法は古来からのヨーロッパで育った手法であり日本には存在しないものである。 どんな巨匠と言われる画家であっても、キャンバスのまま壁に掛けたところで絵にはならないものである。やはり素敵な額縁に入れない限り売り物にはならないであろう。この額縁に博庵は着眼し、ヘリ切りの手法を採っている。